むすび農園

むすび通信134号(農哲3:乳酸菌栽培②)

2015.8.19発信)

 

○散布

 

仕込んだ溶液は100倍程度に希釈し、動力噴霧機を使って散布します。葉っぱにたっぷりかかるように散布し、樹木であれば月1回以上、野菜であれば月2回以上の散布が望ましいです。

散布のタイミングは満月か新月に行います。この時期は、虫の産卵活動が活発になりますが、産卵した直後の卵や生まれたばかりの青虫などは、溶液がかかるとミイラ化します。

仕込んだ溶液は、発酵によって強い酸性(PH3.5以上)となっており、希釈しても酸性が保たれるので、その酸の効果によるのか、あるいは卵等に菌が付着することでダメージを与えるのか、詳しくはわかりません。

しかし、溶液自身は殺虫剤ではないので、成虫には効かないし、青虫も成長すると効果はありません。あくまでも散布の時期が適切だと、防除効果がみられるという程度です。

ですから、満月か新月が望ましいという程度であって、作業できるタイミングで散布します。

 

○効果

 

本来の効果は3つあります。

 

効果1:病気を防ぐ

病気の原因の一つとして、病原菌の増殖(暴走)があります。何故増殖したかが問題ですが、畑で生じる病気も同じです。

溶液には殺菌効果がないので、病原菌を消すことはできません。しかし、多様で大量の善玉菌が葉っぱの表面に付着することによって、拮抗作用によって病原菌の活動を押さえることができます。多様な菌の存在は、一部の菌の暴走を押さえます。

しかし、葉っぱの表面に付着した菌は、雨によって流されるので、定期的な散布が必要です。

 

効果2:免疫効果を高める

免疫効果は、複数の善玉菌や複数の栄養素のチームプレイによって発揮されます。

散布した溶液に含まれる菌や栄養素は、葉っぱから作物内に取り込まれます。根っこから吸収するのが本来の姿ですが、葉っぱからの吸収は人間が点滴によって栄養素を体内に取り込むのと同じです。このことによって作物自身の免疫力が向上し、自分の身は自分で守れるようになります。健康な作物は虫も食べません。

 

効果3:土を育てる

 

葉っぱに散布した溶液の大半は、雫となって土に落ちます。土に落ちた微生物は、土中の発酵を活性化させます。そして土の発酵が十分進むと、根っこから栄養素や菌の吸収が常に行われるようになり、作物はさらに健康になってゆきます。

 

○他の農業資材

 

乳酸菌溶液は、「作物や土を健康にする」ことを目的として使用するものです。しかし、外的要因は絶えず変化するし、慣行農から自然農へと転換中の畑は様々な問題も出てくるため、乳酸菌溶液では防げない現象も多々生まれてきます。乳酸菌溶液以外に活用している農業資材をいくつかご紹介します。

 

●木酢液

木酢液は炭を作るプロセスで抽出できます。木酢液を500倍以上の高濃度で散布すると殺菌効果があります。既に病気が発生している場合は、集中的に木酢散布で防ぎます。また、虫の活動を抑える効果もあり、既に木酢が散布されている園地を虫が避ける効果もあるようです。シーズンの始まりなど、年に1回以上の散布がお勧めですが、木酢液には殺菌効果があるため、乳酸菌溶液と混ぜて一緒に散布することはできません。

また、1000倍より薄い濃度で散布すると、栄養素としての効果があります。

 

●梅酢など

葉物野菜等が病気になった時、カルシウムなどのミネラルを与えることが有効な場合があります。その場合、梅酢や柿酢といった酸度の高い溶液に牡蠣殻(貝殻)を十分溶かせて、その溶液を散布すると有効です。カルシウムを溶かし込んだ梅酢と乳酸菌溶液をブレンドして散布すると、さらに相乗効果が期待できます。

木酢液も酸性なので、これに牡蠣殻を溶かして散布することもお勧めです。

 

●光合成細菌

慣行農から転換途中の農地など、園地に不純物が多数残存している場合、乳酸菌溶液の投入で時間をかけて取り除くことは可能ですが、既に2章で登場した光合成細菌を投入するのが最も効果的です。

光合成細菌は田や沼などに生息していますが、それを抽出するのは簡単ではありません。しかし、いったん抽出すると、透明な容器に水道水(中性の水であることが重要)とエサ(鰹節など)を加えて日当たりのよい場所に置けば、簡単に増やすことができます。誰かから種菌をもらい自分で増やすのが現実的です。

光合成細菌は水中で生息するので、雨の前か雨が降っているときに散布するのが有効です。

 

●えひめAI

乳酸菌溶液を自分で作るのが面倒だという人には、スーパーで調達できる菌を増やして同様の効果を持つ溶液を作ることができます。ヨーグルトとドライイースト、納豆を使用しますが、専門の本も出版されていますので、関心のある人は調べてみてください。

 

身の回りの素材を使って、あるいは自分たちで道具などを開発して農業資材を準備し、畑に投入していくのを理想としています。しかし、一人ですべてを準備するのは大変です。複数の農家さんが協力し、お互いの農業資材を提供しあうとか、流通している農業資材を活用するなど、柔軟に対応していただきたいと思います。

 

(「乳酸菌栽培」、終わり)

 

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むすび通信1100号のURLです。

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台風報告

今回の台風11号は、ほとんど直撃と言った状況で、僕が和歌山に帰ってからの5年間で最も激しい風雨に見舞われました。

畑の中には、いく筋もの川が出現し、みかんの木もたくさんなぎ倒されました。

特にむすび農園1号地の被害はすさまじかった。約半分の木が倒されちゃいました~~。・・その後、冷静に数を数えたら、倒れたのは三本に一本でした。それに、もう枯れそうだから切ろうかな~と思っていた木も合わせて、約20本を切り倒しました。そして残っているのは約30本です。

でも倒れる木には理由があるんです。

むすび農園1号地の木は、5年以上耕作放棄されていた木なので、株がカミキリに攻撃されて、そもそも立っているのが不思議な状況でした。

でも苗木が育つまではなんとかみかんを実らせて~~と、今日までがんばって働いてもらってきたのですが、とうとう引導を渡されてしまいました。

これだけ派手に倒されると、なんかすっきりしてます(笑)

今回はたくさんの木が倒れましたが、僕の気(心)は倒れませんでした!!

ただ・・・おみかんが無いです~~

生き残った木も半分が実をつけていないし、小木に実ったみかんは、イノシシに攻撃されるので落としてしまったし・・・

いわゆる「みかん精みかん」は対前年比40%程度・・

でもジュニアは例年通りありますよ~~ それに、みかん精の楽光みかんもデビューするし・・量は例年通り確保できるはずですが、ランク(美味しさ)は多少ダウンすること、ご了承くださいませ~~

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むすび農園の試練(その後)

先日のレポートの続きを書きます。

獣害対策をどうするかという具体的解決方法はまだ何も前に進んでいません。
そういえば、先日農作業中に、鉄砲の音が2~3発山中に響き渡っていましたが・・

悲惨なリンゴの木を目撃した後・・・

「とにかく今ぐずぐずしている暇があるのであれば、とことん農作業をしろ!」

そんな気分になって、幸いやるべき農作業は目の前にてんこ盛り状況で・・
毎日農作業に精を出しておりました。

おかげで先日の恵みの雨の時、雨が降って凄く嬉しかったのと、今日は畑に出なくていいと思った瞬間、凄まじく疲れが出てきて、2日寝込みました~(笑)

農作業をしたからといって、その先はわからないのだけど・・

農作業をしていると、「あれは違う!」と言う感覚が芽生えつつあります。

前回のレポートで、

>僕は将来の理想のむすび農園の姿として、みかんとリンゴが同時に実っている畑を思い描いてきました。もちろんリンゴは象徴であって、みかん以外の果物もたくさん実っている畑と言う意味です。

と書きました。そして、あのリンゴの木は、僕の夢の象徴だったので、凄くショックだったのだけど・・

でもそれは、僕個人の自己満足(趣味)の世界で、せいぜいごく身近な人だけにしか喜びをシェアできない規模だった。

それは「僕の夢」とはいえないだろう、と言う感覚。

自己満足(趣味)でも悲しいものは悲しい。でもそうなら一人で勝手に悲しんでおればいい。

もし、「僕の夢」を本当に実現したいと思うなら、それは「リンゴの木1本」ではなく、(小さな)リンゴの畑を出現させなければならない。

それは、一本か十本かといった程度の違いではあるけど、それは小さくても大きな違い。

リンゴを商品としては売らないけれども、みかんを注文して下さった全員の方に、リンゴを1個でも2個でも同封できて、初めて皆さんと喜びをシェアできる。

だからもう一度初めからやり直します。

そして植える場所をもう確保しました!(笑) まずは3~5本程度!

待っててくださいね。あと10年!(笑)

追伸

先日のイノシシの被害は6本でしたが、そのうちの根元30センチくらいからへし折られた「プルーン」の木から、ほんの1センチほどの新芽が出ていました!

再生して欲しいな~~

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むすび農園の試練(ありがとう)

みなさま

今回の投稿には、多くの方からメッセージを頂きました。
  むすび農園の試練 

  http://musubi.air-nifty.com/blog/2014/07/post-16a8.html 

ありがとうございます。

個別のお返事を出せていませんので、このメールを持ってお返事とさせていただきます。

〇獣害の現状

獣害は僕が和歌山にUターンした数年前にはすでに深刻な状況でした。

この辺のイノシシはイノブタであり、多産で日中も堂々と行動します。
イノシシ柵(メッシュの金網)の設置がちょうどスタートしたころで、今では全域は無論、その中も細かく設置されていますが、結果論からいえばほとんど効果なしです。

イノシシには電柵しか効果がない、と言う意見もありますが、電柵は価格の問題や、やはりすぐに破壊されるので、そのメンテナンスが大変です。

檻を仕掛けたり、猟銃会が定期的に入ったりして駆除をしており、海南市では年間数百頭を駆除していますが、その程度ではほとんど効果がありません。

「むすび農園」でも期初からあちこちを壊されて、被害はずっと出ていました。
イノシシに限らず、タヌキ・ハクビシン・ウサギ・カラスなどの被害が頻発しており、地域で野菜は全く作れない状況です。

〇心の問題

このような被害はこれからもずっと続くでしょうし、根気よく対策をとり続けていくより方法はないと思っています。

しかし僕は、被害が出ていても、イノシシ等に強い敵対心を持ってはいなかったのです。

そこそこの被害は続くだろうけれども、無くなることはない以上、何とか折り合いをつけていくしかないと思っていました。

そして彼らを心で攻撃しなければ、彼らも深刻なダメージをこちらに与えるところまではしないだろうという変な安心感もあったのだと思います。

今回の問題は、現象は獣害ではあるのですが、僕の心の問題だと受け取っています。

〇百姓魂

僕は日本のお百姓さんたちを心から尊敬しています。

3.11による放射能汚染や津波被害は、論外の出来事と感じますが、自然災害で作物が全滅と言った被害は日常的に体験してきた人たちで、そんな被害にあっても、「しょうがない」といって、明日に向かって歩き始める。

踏みつけられても踏みつけられても、雑草のごとく再生してくる彼らのたくましさ。

本物の哲学者(人格者)は、このような生き方を続けている彼ら(お百姓)の中から多く輩出されるのは当たり前だと感じます。

〇僕の弱さ

僕にもこれまで、小さな試練はたくさんありました。凹んだりしても、前向きに倒れ、また起き上がる、そういうまね事は体験してきました。

今回の出来事は、たかが「リンゴの木が1本」の出来事なのです。

僕は将来の理想のむすび農園の姿として、みかんとリンゴが同時に実っている畑を思い描いてきました。もちろんリンゴは象徴であって、みかん以外の果物もたくさん実っている畑と言う意味です。

その象徴であるリンゴが今年やっと実をつけてくれて、リンゴが現実のものとして目の前に現れました。

理想に大きく一歩近づいた、と言う小躍りするような感覚がありました。

その僕の中の象徴(理想)が、根こそぎ倒された。
枝を折られたといったレベルではなく、根こそぎ倒された。

この時、僕の心の中の何かもへし折られました。

百姓魂とは比べ物にならないくらいの、自分の心の弱さを突き付けられました。
僕はまだ半人前以下のアマチュアであると。

なので、この前の記事は自分の弱さをさらけ出すことになるので、書くのが恥ずかしかったのですが・・

正直に言えば、まだ立ち直れていません。

しかし、自分の弱さを素直に出せる「むすびの縁」が僕にはある。

そのことを今回とても強く感じさせてくれました。
いつも声をかけてくれる方から、登録させてもらっていたことを忘れていたような方まで、広くメッセージを頂きました。

本当に自分は幸せ者だと感じました。

ありがとうございます。感謝です。

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むすび農園の試練

むすび農園は1~5号地と5カ所にあり、今年からは楽光農園が加わって、6カ所で無農薬・乳酸菌栽培を実践しています。

1号地と2号地は山の上に有り、5年以上耕作放棄されたみかん園を開墾して畑を復活させました。連続している畑なので2カ所に分ける必要はないのだけれども、開墾の時期が1年ずれています。

開墾した当初はイノシシのマンションと化しており、数多くのねぐらを発見しました。

その後、イノシシ柵を設置したこともあり、イノシシの姿はあまり見かけなくなっていたのですが、イノシシ柵は1年しか持たないといううわさが昨年頃から聞こえだし、どうやら柵の下に穴を掘って、どこでも自由に行き来できるようにしているようなのですが、それに加えて個体数も一気に増えてきて、今年からイノシシの害が急激に増えてきました。

1号地と2号地は、耕作放棄の関係で、もともと植わっていたみかんの木は多くが枯れており、苗木を植えるのに4年かかりましたが、今では全域に苗木が植わり、その数は200本以上です。

同時にみかん以外の果物の木も植えていきました。

その中でも僕の自慢はリンゴの木で、丸4年がたちましたが、背丈は2メートル以上に育ち、今年はピカピカのリンゴが十数個実ってくれました。

ところが・・・

先日の台風の後に、乳酸菌散布のために畑に行ったところ、そのリンゴの木がなぎ倒されていました。

一瞬台風かと思ったのですが、明らかに異常な圧力を受けてなぎ倒されている。そして実っていたリンゴがすべて姿を消していました。

イノシシに倒されたのです。

その後、姫リンゴ・かりん・なし・プルーンと被害を受けました。

これらの木に共通していたことは、実っていたこと。

実を食べるためにイノシシが木をへし折ったのです。

丸4年と言っても、植えてから勝手に4年が経過したのではなく、水をやり・草を刈り・乳酸菌散布し・・と世話をし続けての4年でした。

パパ、今まで育ててくれてありがとう! これからは僕も働くからね!
そういってくれていたあの子たちの命が、理不尽に突然消されてしまいました。

実をつけたために、殺されました。

同じく期初に植えたみかんの木も、立派に育ってきており、今年は多く実をつけています。
しかし、このままだと彼らもイノシシにやられてしまいます。

彼らを救うために実っている実をすべて落とすべきなのでしょうか。
でもある程度木が育つと、実らせて、その重さで枝をしならせ、木の形を整えていかなければなりません。

みかんが実るころは周り一面みかんが実っているので、イノシシの攻撃は避けられるかもしれません。

しかし・・彼らは美味しいみかんを狙うのです。

そしてむすび農園のみかんは木で完熟させます。まわりのみかんが姿を消していってもそのままならせておかなければなりません。

どこかで集中攻撃をうけそうです。

畑も行くたびに荒らされており、いろんなところを掘り返されるとともに、石垣が崩されるといった被害が出ており、これから畑として維持していくことができるのだろうか・・と、とても不安です。

1号地と2号地は僕の一番のお気に入りの畑で、「みかん精みかん」を育んでくれるとても条件の良い畑です。
そこで働いているときは心が休まり、次は何をしようと言うアイデアもとめどなく浮かんでくる畑でした。

ところが今、僕の心が拒否して、その畑に足を運ばせることができなくなってしまいました。

行くと必ずどこかが新たに破壊されています。
その現実と向き合うことができません。

そこに自分のエネルギーを注ぐことができません。

「むすび農園の試練」ではなく、僕の心が今、試されています。

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ほんまもん農家の集い(果樹部会)in百種茶屋 開催のお知らせ

ほんまもん農家の集いin紀の川 が4月23日に開催され、15名の方にお集まりいただきました。

それに先立ち、3月3日に海南(百種茶屋)にて開催しましたが、海南での開催を果樹部会とし、果樹園を手掛けている農家さんや、果樹に興味のある一般の方を対象に、今後も継続的に集いを開催していきたいと思います。

そして「第2回果樹部会」を以下の日程で開きます。

 6月27日(金)15:00~19:00 百種茶屋にて
(会費:飲み物と夕食をオーダーしていただき、各自精算)

途中、夕食をいただきながら自由な意見交換をします。

第1回は「剪定の話し」「根っこの話し」「光合成細菌の話し」が主でした。

特に今回、テーマを決めているわけではありませんが、皆の共通課題となっている「流通の話し」や、個人的には果樹園での土つくり(草との向き合い方や肥料の考え方など)に興味があります。

そしてトピックス的には、片山さんがチャレンジしようとしている「混植果樹園」の可能性なども意見交換したいです。

参加者の関心のあるテーマに応じて、内容が決まります。

平日ではありますが、調整可能な方は是非ご参加ください。

参加希望者は6月20日までに森までメール(ken3_musubi@nifty.com)でお知らせください。

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カラスとウサギ

獣害の被害が年々広がっています。

○カラス注意報のその後

カラスは今、ほとんどいません。

彼らはいったいどこからやってくるのだろう。
地域の人たちは、3.11で避難してきたカラスたちが、冬の和歌山はとても住みよいということを学習し、渡り鳥化したのではないか・・と言ってます。

まあ、うるさいだけなら別にいいのですが、凄くいたずらします。
みかんを食べる。袋がけしたみかんの袋を破る。設備を壊す・・・

森家の畑は、被害が集中している「カラスが付いた畑」と隣接しているのだけど、今のところ目立った被害は出ていません。

○ウサギ

他の畑ではほとんど被害が出ていないと思われる被害が、むすび農園で出ています。
それがウサギの害。

「美味しいエサ(草)が山ほどあるんやから、そらおまえんとこに寄ってくるわ!」と言われてます。

まあ、草を食べるだけなら別に何でもないのだけど、植えたばかりの苗木の枝をかじるのです。
ウサギにかじられた苗木は成長しないといわれてます。

今年植えた苗木がほぼ全滅してしまいました。
枝が無くなりちんちくりんに。そして葉っぱもすっかりなくなり・・・

どうにか新葉は出てくれていて(出ていない木もあります)何とか持ちこたえてくれてるのだけど、はたして大きくなってくれるのだろうか・・・。

しかし・・・園地に200本ほどの苗木が植わっているのに、今回は、今年植えた苗木だけ攻撃されました。
すぐ隣に、同じくらいの大きさの苗木が何本もあるのに・・。

僕の勝手な想像ですが、植えたばかりの苗木は、まだ畑の波動と同調していない。
なのでそのエリアだけ「異物」のようにウサギには映るのではないかと・・。匂いが違うとか、そんな理由かもしれませんが。

植えた苗木だけ守ればいいのなら、やり方は有るので、来年はそれを試してみます。

○イノシシ

イノシシの柵が至る所に張り巡らされているのですが・・・

柵の効果は1年・・と言う話が広がっています。
穴を掘って自由に出入りしているそうです。そして、その穴を見つけて塞いでも、また隣に穴を掘る。

確かに穴を掘るのは上手です。

むすび農園にも、しばらく来ていなかったイノシシが、最近あちこちに穴を掘り返しています。
冬には、みかんを食べられるんだろうな~~

○その他

今まで、みかん畑で獣害と言えばヒヨドリでした。
みかんを食べるならまだしも、突っついただけのみかんも多く、この被害は相変わらずです。

しかし、ヒヨドリの多い年と少ない年が、みかんの表年(豊作)と裏年(不作)と連動していて、自然は凄いですね。
今年のヒヨドリはきっと多いです。

そして、タヌキやハクビシンは野菜畑を攻撃します。

こんな状況でも、しゃあないな~~と言いながら、農業を続ける農家さん。

自分に降り注ぐ様々な困難を、正面から受け取りながら、サラッと流して、今自分がするべきことを、前を向いて淡々と日々を過ごす。

だから「あなたたちは凄いよ~~!」と言ってるんだけど、

「なにアホなことゆうてんの。けんちゃんもよお頑張ってるな~」と言ってくれます(笑)

第2の人生。農業と出会えて本当に良かった。

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むすび農園報告

皆さま

とってもとってもご無沙汰しております。

今月の初めまで昨シーズンの出荷作業が続いていましたが、事務的作業は残しつつも、完全に今シーズンへと切り替わりました。

何点か「むすび農園」の報告をします。

○今年の草

今年の草の勢いが半端ではありません。

これまでの春の草刈りは、草を切り倒していく感じなのですが、今年は刈りながら積み上げていく感じです。

少し古い情報ですが、他の自然農の農家さんも、今年の草の成長が凄く早くって大変だ~~と言ってました。

単なる天気の具合なのか、地球に降り注ぐエネルギー量が増大しているのか・・例年、今年は異常と言ってますが、今年もいつもと違うスタートとなりました。

○今年の収穫予測

実は今年、大失敗をしました。

ヤノネという害虫が園地に広がると、木も枯れるし、みかんに黒ゴマのようなものがびっしりついてしまって、みかん農家にとって大敵の一つなのですが・・

これを駆除するにはマシンという油の撒布が有効です。油の膜をはることで窒息死させます。油なので、有機JASでも使用は認められている(はずな)のですが、やはりそれも使いたくはないな~と、昨シーズンは使いませんでした。

すると園地のあちこちにヤノネの繁殖が見られるようになって、今年その撒布を行ったのです。

マシンの撒布は木にもダメージを与えます。皮膚呼吸ができなくなるので・・。

たぶんそのせいで、半分近い木が葉っぱを落としてしまいました。

ヤバイ!! 枯らせてしまった!・・とドキドキしましたが、春になってほとんどの木が新葉を出して復活してくれました。

当たり前なんですけど、彼らにとっての最優先事項は葉っぱを復活させること。なので、花がついていません。
花がついていないと実になりません。
今年の収穫量は相当少なくなりそうです。

花が咲かない理由に、「ならし過ぎ」というのもあります。
一般には、たくさんのみかんを「成らし過ぎ」なのですが、僕の場合はぎりぎりまで木熟させるので、長い時間を「成らし過ぎ」です。
すると、木が持つエネルギータンクが空っぽになって、翌年は「一回休み」となります。
これを「隔年結果」といいます。

むすび農園の木たちは、自分たちでローテーションを決めたみたいで、花が咲いている木と咲いていない木がくっきりと分かれました。
昔のみかんの木は、隔年結果が当たり前だったらしいです。
そんなところも昔に帰ってきているみたいです。

そんなわけで今年のむすび農園の収穫予想は「不作!!」です。

年末の注文は問題ないと思いますが、蔵出しみかんは今年はないかもです。

○デビュー

一方で、少しずつ園地の拡大も続けています。

今年は清見オレンジが増えて、「十万」という種類の温州みかんが新たにむすび農園に加わりました。
年明けのみかんは、彼らが代わりを務めてくれると思います。

そして、一年目に植えた木たちがそろそろ戦力となってきました。温州みかんはまだまだ味が整わないので、出荷対象にしないかもしれませんが、レモンが相当量の実をつけそうです。
そうはいっても木の数は少ない(そこまで成長したのはまだ3本)ので、単独で販売できる状況にはなりませんが、みかんのおまけに少し入れるような状況ができるかもしれません。

そして「みかん精の楽光」のおみかんが今年デビューします。

こちらは楽光生の皆さんで販売する予定なので、僕のみかんとしては扱いませんが、案内はしていきたいと思っていますので、そちらも良ければご利用ください。

「みかん精の楽光」報告はまた改めて。

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色が来ない

「今年はヘン」という言葉を、いったい年に何回使えばいいのだろう。

そして今年のみかんの収穫がヘンなんです。

みかんに色が来ない。

特に晩生みかんは、まだ青々している。
ぼんやりとは赤いのだけれども、青みが残っていてくすんでいる。
小学校の校歌に「冬は黄金の灯がともる」という歌詞があるのだけれども、まだほど遠い状況。

早生や中生は収穫真っ盛りなのに、そこにも青みが残っていて、これじゃあミカンの収穫ができない、と言っている農家さんも多い。
今年のみかんは例年よりも高くありませんか。
それはみかんが少ないからではなく、まだ出てこないのです。市場からは早く送ってこいと催促が来ているようですが送れないものは送れない。

みかんの色は、寒さが影響します。今年は残暑が長かったので、その影響だろうといわれています。あったかいと陽なので、ベクトルは成長に進み、寒くなると陰で、成熟に向かいます。
色が来ないとは、みかんの成熟が不十分ということで、例年より10日は遅い感じ。

むすび農園は慣行農の畑よりさらに成熟が遅れるので、まだ青々しています。
いや、自然農では成熟が遅れる のではなく、慣行農では成熟が早まる のです。

それでもカレンダー通りに物事は動こうとする。

先日、青島みかんに袋かけをしたという写真をフェイスブックにアップしました。
その青島みかんの収穫が一部で始まっています。まだ半分青いです。それを1月末まで貯蔵して、色を付ける。
僕は絶対食べたくない(笑)

僕の青島は、12月末には半分収獲するのだけれども、もう半分は2月の上旬まで木熟させようと思っています。
今収獲しているみかんと、あと2か月半木熟させているみかんで、味が大きく異なることは誰もが予想できますよね。

でも誰もそれをしないのは、慣行農だから。

ひとつは手間の問題。袋かけしていたら作業が進みません。
でも最大の理由は物理的にできないから。
既に収穫が始まっている理由は、これ以上ならせておくと、みかんが「吹いて」しまうからです。ボコボコのみかんになって商品価値が無くなってしまう。
ふく理由は土に窒素(肥料)を入れるから。
だったら入れなければいいのに、入れないともっとたくさんの悪いことが起こると信じられているから。

そんなヘンな冬ですが、今年予定している収穫祭は、相当後半にセットしているので、そこに影響は出ないと思います。
 今年のみかん収穫祭の予定
 http://musubi.air-nifty.com/blog/2013/11/post-3d64.html

それからおみかんの販売も、12月25日前後の発送となるので、こちらもたぶん大丈夫。
 【予約受付開始】きのむすびみかん
 http://musubi.air-nifty.com/blog/2013/10/post-e38a.html

でも・・「自然の流れに身を任せる」、そんな生活が当たり前にならないと、これからますますヘンなことが起こるように思います。

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雨、その後

先日の24日から25日にかけて降った雨は、本当に恵みの雨でした。
二日間で約60ミリの降水量でした。

7月末に、20ミリ程度の降水量がありましたが、この時は、畑の表面を湿らせただけで、木の根っこまでは届かず、樹勢は回復しませんでした。・・・それでも貴重な雨で、あの雨が無かったらもっと悲惨な状況になっていました。

今回は、病後にいただく「おかいさん」のように、じんわりと染み渡り、根にも届き、概ね樹勢は回復しました。

苗木を中心に数本の木を枯らしてしまいましたが、その程度で済んだのは何よりでした。
この雨で、今後、よほどのことがない限り、今年は大丈夫です。・・・来年にどんな影響が出るかは、現時点ではわかりませんが。

そんなわけで、畑の木々は元気を取り戻しましたが、もっと劇的に回復したものがあります。

それは「雑草」

自然農の畑の雑草の一部が枯れ始めるという、これまで経験のないことが起こり始めていましたが、日々、たくさんのエネルギーを太陽から受け取りながら、それを一気に放出する機会をずっと待っていたのですね。

まるで、ビックリ箱のふたを開けたように、数日見なかった畑の様子が一変していました。
僕の受け取ったイメージでは、雑草のボリュウムが3倍くらいに増えた感じです。

農作業的には、一難去ってまた一難。
どこから手を付けよう・・・と、くらくらしています。

〇今年のみかん

今年のみかんの速報です。

今年の糖度は、1~2か月早く推移しています。
既に口に入れても大丈夫、な状況で、たぶん、1~2度、例年より甘いみかんが仕上がりそうです。
みかん全体が、甘く仕上がる中、自然農のみかんはどんな味になるのでしょう。
それでもきっと、個性を出してくれるはずです。

みかんの量ですが、春先に落果して、ずいぶん心配しましたが、清見等の一部の品種を除き、結構成っています。
しかし、サイズは小さいです。
農作業的には、採っても採ってもたまらないみかん、です。
なので、総量はやはり少ないかもしれません。

〇今年の販売

一か月後には、極早生みかんの出荷が始まります。
きのむすびでも、極早生みかんを販売しますが、秋みかんは自然農的にはなかなか難しく、昨年はあまり満足のいく味ではありませんでした。
今年も不安でいっぱいですが、「12月まで待てない!」というかたに、冬みかんとは品種が違うんだ! と言うことをご理解いただき、2~30箱の限定販売します。

詳細は9月中旬に、別途ご案内します。


もうしばらく、お待ちください。

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