農哲副読本 農から学ぶ「私」の見つけ方(6)
3.中真とつながる
全ての人は生まれた時から、その内部に中真を持っています。しかし、この社会で生きていくため、様々な情報を取り込み、それらがゴミや垢となって中真の周りを取り囲み、かくしてしまっています。この壁のような存在を農哲では「心の硬盤層」と呼びます。
硬盤層は前作(P34~)でも取り上げていますが、大切なポイントですので、再度詳しく見ていきましょう。
中真とつながるには、この「心の硬盤層」を取り除かなければなりませんが、そのヒントは自然界(畑)にあります。
○畑の硬盤層
多くの畑では地面から数十センチ地下に硬盤層を形成しています。
硬盤層ができると、水やエネルギーなどがそこに滞留し、酸化状態となってそこは腐敗します。作物の生育には大きなダメージを与えるので、農家は「耕す」ことで硬盤層を壊します。しかし、硬盤層はすぐに再生してしまうので、繰り返し耕す必要があります。
では硬盤層の正体はなんでしょう。農薬や化学肥料といった化学物質が、土の隙間に潜り込み、目つまりを起こして硬盤層となります。ですから、耕すことでこの層を破壊しても、形成している物質はそのまま残っているので、また硬盤層は再生してしまいます。
自然農ではこの硬盤層を取り除くことから作業を始めます。
自然農では草とどう向き合うが重要なポイントとなりますが(前作P17~)、慣行農から自然農に畑を切り替えた時、最初に生えてくる草はセイタカアワダチソウのような、硬くて細長い草です。初期に生えてくる草は土のデトックスを手伝っているように感じますが、硬くて細長い草は、地中においても硬くて細長い根っこを下に向かって伸ばします。すなわち根っこの成長で畑の硬盤層を破壊してくれるのです。硬盤層を突き抜けた草の根はいずれ枯れて、今度は微生物のえさとなります。微生物を硬盤層の隙間に誘導するのです。そして硬盤層を形成していた化学物質も微生物に食べさせ、その存在そのものを消していきます。
私たちの農法では、この現象を効果的に引き起こすため、光合成細菌(有害物質を好んで食べる微生物)などの微生物を積極的に畑に投入しますが、たとえ人間の関与がなくても自然界は畑の硬盤層を破壊していきます。
硬盤層の正体は人間によって外から持ち込まれた化学物質でした。それは本来そこには存在しない物質です。農哲には「そこにあってはならないものを消し去る」という法則があります。そして本来の姿に戻していきます。
○心の硬盤層
心の硬盤層も最初からそこに存在していたわけではありません。外から取り入れた情報などが、役目を終えてもそこにとどまり、目詰まりを起こして硬盤層となりました。
それは「そこにあってはならないもの」なので、その存在を消し去ろうとします。そのためにその存在を私たちに知らせようとしますが、それが目の前に現れる試練です。その試練をうまく受け止めることが出来たら、試練を生み出した硬盤層にも変化が生まれるので、状況も変化していきます。しかしその試練から逃げ出したら、状況は何も変わらないので何度も何度も同じ試練が目の前に現れます。
心の硬盤層を取り除くには、目の前に現れる試練と正面から向き合い、歯を食いしばっても乗り越えていくしかないのかもしれません。私の場合もひたすら試練と向き合ってきました。しかし長く試練と向き合っていると、試練に隠されたメッセージに気づけるようになってきました。より効率的にその試練の目的を終わらせることができるようになってきました。
畑の硬盤層は、人間が何もしなくても自然界は自力でその存在を消していきます。しかし私たちの農法は微生物を効果的に投入することで、より短い時間でそれを取り除くことに成功しました。心の硬盤層も、人間の知恵によってより効果的に消し去る方法があるのです。
心の硬盤層を取り除くためには、2つのことを同時に取り組む必要があります。それは、
・新たな心の硬盤層を創りださないこと
・古い心の硬盤層を取り除いていくこと
の2つです。
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