農哲副読本 農から学ぶ「私」の見つけ方(12)
7.今生で何を目指すか
ここまでお話ししてきたことは、実はとてもシンプルです。
・外の世界に答えを求めるのではなく、内に意識を向けよう(中真とつながる)
・過去や未来にとらわれず、今に集中しよう(今、が全て)
・今できることをやりきろう(行動する)
これだけのことをやりきれば、あるがままの自分へと変化していきます。
ではあるがままの自分とはいったい何者でしょうか。
私たちの実践する農法は、あるがままのみかん・あるがままの作物を目指したものです。決して特別な農法で特別な作物を目指しているわけではありません。本来その作物が持っている特徴を100%引き出してあげることです。あるがままの自分とは、自分の個性が100%発揮されている状態です。するとオートマティックな人生を歩み始めます。
自然界では絶えずエネルギーが流れ続け循環しています。そしてどこかでエネルギーの流れがせき止められると、バランスが崩れさまざまな障害を引き起こします。硬盤層はエネルギーをせき止める壁でした。これを取り除くことで本来の流れを取り戻します。
オートマティックな人生はエネルギーが絶え間なく流れ続けている状態です。ですから、今なすべきことをやりきると、次に新たなエネルギーが流れ込んできます。今なすべきことがエンドレスでやってきます。すること(仕事)はどんどん大きくなっていきますが、ストレスフリーとなるので結構楽です。しかし、自分の意志で取り組んでいるのかどうかがわからなくなる時もあり、大いなる存在の操り人形になっているような感覚もあります。
このような状態になると夢は勝手に実現していくとも述べました。しかし皆さんが思い浮かべる夢はいったいどんな夢でしょう。有名人になりたい・お金持ちになりたい といった夢かもしれません。であるなら必ずしも実現しない夢もあります。
例えば「お金持ちになりたい」というケースを考えます。お金の動きもエネルギーです。ですからスムーズにエネルギーが流れていれば、必要なお金も集まってきて、お金に困ることはなくなっていきます。しかし、必要以上のお金が流れてくることもありません。ですからお金持ちにはなれません。お金は「持つ」ものではなく「流す」ものです。そして流す先(使い道)に注意すれば、それは必ず帰ってきます。
このような人生を平凡と感じるか、エキサイティングと感じるかは人それぞれです。せっかく生まれてきたのだから、もっと野心的なことにチャレンジしたいと思ったらそれもまた人生です。魂は経験することを望んでいるので、そういうチャレンジも大歓迎です。しかし、エネルギーの流れを操作する側面があるので、そこには課題もセットでやってくることを覚悟しましょう。
そして自分の魂に傷をつけるようなチャレンジだけはしないようにしましょう。
作物は食べられることで自分の使命を果たすように、自然界では、すべての生命は他の生命に貢献するために生きています。命のバトンこそがすべての生命が生まれる唯一の理由です。人間も、その法則に逆らうことだけはしてはいけません。
自らの内面と向き合い、内から外にエネルギーを放出する、周りにエネルギーを分け与える、そんな生き方を目指してください。発酵モデルで人生を歩めば、どんな野心的な夢であってもいずれ実現する時が来ます。しかし周りからエネルギーを奪う行為は魂を傷つけます。それは腐敗モデルです。腐敗モデルは絶えず拡大していかないといけないので、必ず終わりが来ます。そこまで進むと滅亡しかないのです。
○地球を救う
私は農業を始めて10年になります。畑の草を刈り続けると植生は徐々に変化していきます(前作P17~)。しかし、数年前から草の様子が一変しました。「草が暴れる」ようになったのです。以前の草が突然復活したり、全く見たことのない草が生えてきたり、草を何度刈ってもすぐに成長したりといった現象が起こるようになりました。
これまでとは異なるエネルギーが地球から放出され、それに反応しているように感じます。その現象は自然災害等の異常気象が頻繁に発生してきた時期と重なります。自然災害等の発生は、地球規模でのバランスが崩れそれをとり戻すために起こっています。そしてバランスを崩したのは人類です。今起きている自然災害は天災ではなく人災です。
今日の社会は「マクロ経済」など、「マクロ○○」と呼ばれるモデルが基本となっています。この「マクロ」が曲者で、規模を拡大して成立するモデルは腐敗モデルです。限界まで進むとあとは滅亡しかないモデルなのです。大きくバランスを崩して元に戻れなくなったものは、自然界では存在そのものを消し去ろうとします。過去の文明はこの法則によって滅びてきました。そして今、私たちにもその現実が目前に迫っています。
では、どうしたら回避できるのでしょうか。
私たちは必死にその答えを探していますが、政治家も科学者も思考ではその答えを見いだせずにいます。また答えが見つかったとしてもそれを実践するだけの時間は残っていません。
唯一残された選択肢は、個人の場合と同じで、人類も中真とつながることでバランスを整えていくことです。それは腐敗モデルから発酵モデルに一気に転換することです。
ではその時、私たちに何ができるのでしょう。やはり「今なすべきことをなす」しかありません。ひとりひとりがあるがままの自分を発見して自分の個性を光らせることしかないのです。でも、ひとりひとりから放出された個性の光は他の光と共鳴して、光の強さを増します。出会うべき人は共鳴し合って勝手に引き寄せられていきます。そしてチームプレイで発酵を始めるのです。発酵はチームプレイで行われます。しかし個々の菌は自分の仕事をひたすら遂行するだけです。
夢のところで野心も良し!と述べましたが、実は私にもちっぽけな野心があります。それは「私がこの世界を救うのだ!」という野心です(笑)。でも今の私にできることは、あるがままのみかんを育て、そこで学んだことを文章に起こし、みかんとメッセージをセットにしてひとりでも多くの人のもとに届けることです。
みかんひとつはとてもちっぽけですが、みかんの味の違いが感じられるようになると、他の食べ物の味の違いも感じられるようになります。そして食に対する意識が変わると生活の意識も変わり、今まで見えていた世界の景色も変わります。
たった一個のみかんが引き金となって一人の人間の意識が変わり、地域が変わり、日本が変わり、世界が変わる。それが私の夢です。そのために今の私ができることは日々畑と向き合うことです。そしてこのような活動を続けていくことで、同じ野心を持つ多くの人たちとの出会いが生まれています。ひとつひとつの小さな渦が統合して大きな渦に成長していく可能性を感じています。
しかし、ひとつひとつの小さな渦(エネルギー)が周りの人々も巻き込んで統合させていくためには、共鳴という現象を起こさなければなりません。
今の自分とRさんを結ぶために感情というコミュニケーションツールを活用したように、異なる意識を共鳴させるためにもやはりコミュニケーションツールが必要なのです。
私は「農哲」こそがそのツールとなりえると信じています。
ですから決して精神論や概念論ではなく、「科学的」な表現を用いることに留意しています。そして「農体験」をそのベースにおいています。それはだれもが体験可能なフィールドだからです。
前作やこの冊子がひとりでも多くの人の手に渡ることを願っていますし、この冊子を手にした皆様にも是非一緒に歩んでいただければと思います。「あなた」とともに、この世界を変えていけることを願います。
難しいことではありません。あなた自身がワクワクする人生を歩んでくれればよいのですから。
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