自然農の苗木の運命
自然農の畑に植えられた苗木は、幸せなんだろうか。
最近、そんなことを考えます。
2013年7月29日 16時現在
中国地方や東北地方で大雨の被害が、連日報告されています。
なのに・・・和歌山下津地方は全く雨が降っていません。1mm/週・・
今日から明日にかけてついている傘マークが空振りに終わったら・・
むすび農園には、この3年間で200本以上の苗木を植えてきました。
今、その子たちは必至で「乾き」と闘っています。
水源がない・かん水施設がない・道路がない
そういう畑なので、みかん栽培には最高級の土地なのに耕作放棄されました。
山小屋の屋根に降る雨水を集めて水を貯えます。
そのなけなしの水を半分使って、一週間前に水をやりました。
しかし・・もう限界が近づいています。
残りの水を使ってしまって、それでも雨が降らなかったら・・今年の夏を乗り切れません。
雨が降らない問題は、自然農も慣行農も違いはなく、むしろ自然農は草が茂っているので、乾燥には強いはずなのですが・・・
これ以上雨が降らなかったら、下からバケツで水を運び上げるしかないのだろうか・・
凄まじい作業になりそうです。
木は葉っぱが命です。
しかし、自然農の畑に植えられた苗木は、様々な攻撃にさらされます。
青虫がついて、一晩で葉っぱが丸坊主になることがあります。
アブラムシが新芽に着くと、葉っぱの液をすうので、葉が丸まってしまい、葉の機能を果たさなくなります。
新芽に着く病気にも襲われます。
そして今、乾燥によって葉っぱが落ちようとしています。
葉っぱを無くした木は、新芽を出して、何とか自力で復活しようとします。
その葉っぱがしっかりと育って緑化(一人前の葉っぱ)すればいいのですが、やはり上記の脅威にさらされて、なかなか葉っぱが増えません。
このような状況が続くと、苗木が持つ生命エネルギーが徐々に低下していきます。
みかんの木が自分の死を悟ると、成長のための努力を放棄して、残っているエネルギーのすべてを使って花を咲かせます。
子孫を残そうとするからでしょうか。
ろうそくの火が最後に大きく燃える感じです。
老木なら、「長い間ありがとう」と素直に言えるし、それでも一気に枯れてしまうことはありません。
しかし、植えてまだ1~3年の苗木にこれをさせてしまうと、「申し訳ない」の気持ちでいっぱいになってしまいます。
花を咲かせるだけでも大変なエネルギーを消費するので、無駄とは分かっていても、花を一生懸命摘むのですが、それで助かることはありません。
カミキリムシの脅威もすさまじいです。
カミキリムシは苗木にも容赦なく卵を産み付けます。
大人の木であれば、たとえ見逃してしまっても、まだ何とか生きていくことができます。
しかし、苗木で見落としてしまうと、カミキリムシが開ける穴は、苗木の細い幹を貫通します。
そこに植えていたはずの苗木が突然姿を消した! とおもったら、カミキリに木が切断されていました。
草刈りは機械でやりますが、草のせいで苗木の姿が見えなくなる時もあります。
一度、草と一緒に苗木を切断してしまいました。
様々な理由で、この3年で10本以上の苗木が姿を消しました。
慣行農の農家さんが知ったらバカにされる数字です。
自分の無力(無知)が情けなくなります。
慣行農の畑に植えられていれば、きっと助かった命です。
自然農の畑に植えられた苗木は、幸せなんだろうか。
最近、そんなことを考えます。
それでも、1年目に植えた苗木は、成長にばらつきはありますが、何とか実をつけるところまで来ました。
来シーズンくらいから、戦力になってくれそうです。
でも、その前に・・・
この子たちのために、雨よ降ってください!!
| 固定リンク
「むすび農園」カテゴリの記事
- むすび通信134号(農哲3:乳酸菌栽培②)(2015.11.09)
- 台風報告(2014.08.15)
- むすび農園の試練(その後)(2014.08.15)
- むすび農園の試練(ありがとう)(2014.07.31)
- むすび農園の試練(2014.07.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント